私の愛した悪役たち VOL.7

第63回 空母ドロス機動戦士ガンダム

機動戦士ガンダム』の『悪役』たちが軒並み魅力的だあることは、言うまでもないことだが、“ザビ家の人々”が、また素晴らしい。野望、陰謀、栄光、愛憎。およそ“人間社会”の持つ光と影(?)の全てがそこにあると言っても過言ではないだろう。
総帥として事実上ジオン公国の全権を握っていたギレンを「ヒットラーの尻尾」と皮肉り、その危険性を充分に知りながら、まさか自分を殺すとは思ってなかったデギン公。そのギレンにしてからがデギンに向けた最後の言葉が「老いたな…父上」なのだ。これを愛憎と言わずになんと言おう。人間の存在感を持ちながら、なおかつ妖怪然としたロボットアニメの敵役を見事に両立してくれた天晴れな一家なのである。

さて、長い前フリだったが、そのザビ家の中で僕が一番好きなのは、やっぱりギレン総帥なのである。(次点は僅差でドズル)「決定的打撃を受けた地球連邦軍にいかほどの戦力が残っていようとそれはすでに警外である。敢えて言おうカスであると!」という演説は凄くカッコいい!なぜカスと言うのか?なぜ敢えてなのか?いい台詞です。
…そのギレン総帥がこよなく愛し、目をかけていたのが今回の“空母ドロス”なのである!(爆)宇宙要塞ア・バオア・クーに配置された超巨大空母。『めぐりあい宇宙』を観れば分かるけど、このドロスをギレンはやたら気にかけて褒めちぎる(笑)「…さてドロス上手くやれよ」とか「Nフィールドはドロスの隊で持ちそうだな」とか(笑)

子供の頃は“ドロス”という単語の意味が分からなかった。ドロスは巨大過ぎてほとんど背景としてしか描かれてなかったから(笑)それが一つのものに対してギレンが投げかけている言葉だとわかった時、冷血人間ギレンのわずかな人間性を垣間観た気がしたのだ。かわいらしい…オモチャの多かったキシリアやドズルと違い、それがギレンの唯一のオモチャであるかのように、すっごく可愛がってる(笑)
また、この空母ドロスには小型戦闘艇である大量のガトルしか載っていない。そこでもギレンのものの考えが分かる気がする。ニュータイプも信じないMSもあてにしてない。ギレンにとって戦力とは純粋に“頭数”のことを言うのだろう。(※ ガトルの発着しか観ていなかったので、このように勘違いしたようですが、Wikipediaで確認するとMSやMAも搭載とありますね)
そのギレンに『ガンダム』の1年戦争はどう写っていたのだろう?ギレンを知るためにはまずドロスから。そんなワケで僕は今だに「144分の1で空母ドロスのプラモデル出ないかな〜?」とか無責任なことを考えています(笑)

2000/1/1
整形/修正 2012/02/12